美容診療
Cosmetic dermatology
男性型脱毛(AGA)
男性型脱毛症(AGA)は、思春期以降に発症し徐々に進行する男性に多く見られる脱毛の症状です。
ヘアサイクル(毛の生え替わり)が短くなり、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまう状態です。
初期症状としては額の生え際(前頭部)や頭頂部の毛髪が細く短くなり、次第に額の生え際が後退したり頭頂部の毛髪がなくなります。
AGAは徐々に進行し、太い毛にかわって細く短い毛が増えることで薄毛が目立つようになります。
この男性型脱毛症(AGA)にはジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが関与しています。
そしてジヒドロテストステロン(DHT)の生成には5α還元酵素(Ⅰ型、Ⅱ型)が作用しています。
このメカニズムを阻害する内服薬や、ミノキシジル外用薬をはじめ、いくつかの治療法があります。
進行する前の早めの治療をお薦めします。
〔監修〕杏林大学医学部皮膚科学教室教授大山学先生
Meiji Seikaファルマ株式会社ご提供
当院でのAGAの治療方法
治療法について
ミノキシジル外用について
ミノキシジルの効果
ミノキシジルは、米国のファルマシア・アップジョン社(現・ファイザー株式会社)が1960年代に開発した、高血圧症患者向けの血圧降下剤です。しかし臨床実験中に多毛症の副作用が報告されたため、薄毛治療用に転用されました。1980年代にミノキシジル濃度2%の薄毛治療用の外用薬が誕生し、現在では世界中の製薬会社から、ミノキシジルが含有されている外用薬が発売されています。ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)治療に効果のある外用薬(皮膚へ直接塗布する薬剤の総称)として、国内で認可されています。市販されているものはミノキシジル濃度2%~5%のものが主流であり、医師の診察と処方があれば5%を超える濃度のものも使用可能です。ミノキシジル濃度の高い外用薬は、専門クリニックでの検査や医師の診断がなければ入手できません。含有量が多ければ多いほど大きな改善効果を見込めますが、副作用のリスクも高まるからです。自己判断で使用することは絶対に避けましょう。
ミノキシジルには、発毛や髪の成長を促進する作用があります。頭皮に直接塗布することで、毛母細胞が刺激され、細胞分裂が活発になるためです。頭頂部や前頭の薄毛に対して高い効果を発揮することが認められています。
代表的なAGA内服治療薬であるデュタステリドは、5α-リダクターゼを抑制することでAGAを改善する内服薬の一種ですが、これに対してミノキシジルは、細胞分裂の活性化によって発毛と髪の毛の成長を促進する外用薬です。ミノキシジル外用とデュタステリド内服は作用メカニズムが異なるため併用することが可能です。デュタステリドで進行を食い止め、ミノキシジルで発毛を促すのが効果的なAGA治療となります。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは血圧降下剤として開発されてものであり、血管拡張作用があることから、高血圧患者や狭心症をはじめとする循環器系の疾患を抱えている方の使用は注意が必要です。加えて、適用部そう痒感といった副作用も報告されていることから、もともと肌が弱い方や、過去に外用薬の使用からなるアレルギー反応を起こした方の使用も控えるべきです。ミノキシジルは市販薬であるものの、安心して使用したいのであれば事前に医師の診断を受ける必要があります。
当院では、AGAに対しては、ミノキシジル7%(リグロースラボM7α®)難治である場合はミノキシジル15%ヴェラルティス15%製剤を診察の上処方しております。
Regrowth Labs® M7α(リグロースラボ)
Regrowth Labs® (リグロースラボ) M7αは、ミノキシジルを7%配合した【アルコールフリー】育毛剤です。また、アゼライン酸やトリペプチド-1銅、Trichogen™ブレンドも配合しています。
Regrowth Labs® (リグロースラボ) M7αの特徴
- 毛細血管を拡張させ頭皮の血行を促すとともに、毛母細胞へ直接働きかけることで、毛周期における成長期を延長させるミノキシジルを7%配合。
- ミノキシジルは、日本で唯一、壮年性脱毛症への発毛効果が認められているリアップX5プラスと同じ有効成分。既に始まってしまった脱毛の進行を予防するだけでなく、発毛の効果も。
- アゼライン酸が、5-α還元酵素の働きを阻害し、脱毛症の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)へと変化するのを抑制。
- 頭皮に弾力を取りもどすトリペプチド-1銅が、傷ついたタンパク質を修復したり、ヘアサイクルの成長期を延長。
- Trichogen™が、細胞代謝を刺激しながら、髪質を強化して、毛髪の表面を修復。ケラチンへの吸着性が良好で持続性がある、特に後頭部で有用な育毛ブレンド。
- 痒みの原因となるプロピレングリコール(PG)、アルコールを使っておらず、頭皮にやさしい処方。【リグロースラボで唯一】
- 米国食品医薬品局(FDA)によるcGMP(製造品質管理基準)を満たした施設で製造されており、高品質。
- Regrowth Labs® (リグロースラボ)シリーズすべての商品で、リポソーム技術を採用。吸収性・持続性の向上や、皮膚刺激の低減を実現。
Veraltis® VL15
ヴェラルティスVL15(局所治療薬)は若々しく、自然な髪の成長サイクルを促し、最初の抜け毛の兆候や脱毛症の改善治療に効果的です。
- 有効成分ミノキシジルは毛包を強くし、髪の水分を閉じ込めることで保湿効果を保ち、活気ある髪を再生します。
- プロキャピルとアデノシンの配合により、新たな髪の成長を刺激し、手触りの良い、美しい髪の状態へと導きます。これらの成分の配合により、薬剤がしみるといった痛みが減り、髪密度改良に伴う頭皮の炎症といった副作用が軽減されます。
使用方法
1日2回、1回につき5回プッシュの容量(約1ml)を使用し、特に抜け毛や薄毛の気になる部分である頭皮の毛穴に浸透するようにまんべんなく約2分~4分程度マッサージします。終わったら手を洗って下さい。薬剤塗布後、4時間以上、放置して下さい。
指示した使用量以上の塗布を行っても、効果が伸びることはありません。
【ヴェラルティスVL15の副作用・注意事項】
稀にかゆみ しげき感 かぶれ が出現することがあります。ごく稀に動機 めまいが出現することがあります。その場合はご使用を中止し医師にご相談ください。
注意事項
外用剤のみとして使用して下さい。心臓病の方、血圧を下げる薬を服用している方は本商品をご使用にならないでください。本商品使用後に胸の痛みや、動悸があった場合すぐに本品の使用を止め、医師の診察を受けて下さい。
・18歳以下の方は使用しないで下さい。
・商品によっては色が暗くなっている場合がございます。生産ロットによって色が異なるのは通常よくあることで、薬剤のもつ効果効能に影響はありません。
この治療は、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*承認を受けていない医薬品・医療機器について「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページをご確認ください。同一の作用があり、日本国内で承認を受けているものはありません。
フォトナ『ヘアレーズ』
フォトナ『ヘアレーズ』はフォトナSPダイナミスという最新機種のエルビウムヤグレーザーを用いた発毛治療です。
エルビウムヤグレーザーを頭皮に直接照射し、血流促進と組織の活性化により、育毛効果を発揮します。次のステップであるメソセラピーの前に照射し、ダブルでの血流改善・促進による発毛を狙うこともできます。
施術時間 / 治療期間・回数
- 施術時間
10~20分 (面積によって異なります) - 治療期間・通院回数
1クール 2週間に1回 ×4回
【フォトナ『ヘアレーズ』注意事項】
・照射している部位に熱さを感じます。
・施術後、部分的にほてり感やひりつきが若干あります。
・1週間は毛染め、パーマはお避けください。
この治療は、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*承認を受けていない医薬品・医療機器について「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページをご確認ください。同一の作用があり、日本国内で承認を受けているものはありません。
HARG+®療法(ハーグプラス療法)
HARG+療法(ハーグプラス療法)とは
ヒト脂肪幹細胞培養上清液をさらに特許ろ過技術を用いてフィルタリングし、徹底的に不純物を取り除き、エクソソームのみを抽出した製剤を使用します。 HARG+®療法は、その高純化エクソソーム製剤(ASCE+)を直接頭皮に注入して、早期に毛髪の再生を促進し、発毛した毛髪の維持を行う治療法で、男性型脱毛症(AGA)、女性のびまん性脱毛症など男女ともに治療することができます。
HARG+療法は、育毛剤の使用や内服薬による治療と比較しても、高い効果と安全性が認められており、AGAのみならず女性の薄毛・抜け毛、円形脱毛症などにも効果的です。
幹細胞を利用したアンチエイジング法は以前から研究者に注目されていました。
2008年ごろから、脂肪幹細胞から精製したAAPEを頭部に注射する薄毛治として、「HARG療法」が用いられるようになりました。それまでは、つけ薬と飲み薬の治療しかなく、それで効果がなければ高い費用と時間をかけて植毛するしかありませんでしたが、その間を埋める治療として、HARG療法は瞬く間に普及しました。国内外を合わせて3万件以上の施術実績があり、安全性と効果が確認されています。
2022年、エクソソームの研究、開発が進んだことにより、製剤がエクソソームを豊富に含むASCE+HRLVを用いるHARG+にアップグレードされました。当院では数年前よりASCEを皮膚の若返りに使用しており、高い効果を感じておりました。このたび、薄毛用のASCEはさらにエクソソームの濃度が高くなりましたため、薄毛治療の新しい選択肢として導入いたしました。
HARG+®療法の作用メカニズム
エクソソームとは
エクソソームとは、分泌細胞からターゲット細胞にメッセージを伝えるメッセンジャーとして働く“細胞間の伝達物質“で、活発に体内を循環しています。
エクソソームは、例えるなら「サンタクロースが抱えるプレゼントがたくさん入った袋」というイメージです。その内部には、分泌された元となる細胞の核酸(miRNA:マイクロ・アールエヌエーなど)や成長因子、タンパク質、脂質などが存在するので、下記のような能力を持ちます。
- 再生能力
- 抗炎症効果
- シグナル伝達力
- 抗細胞老化
- 細胞増殖
- 細胞吸収力
- 免疫調整
これらの対象となった細胞は再び活性が行われ、本来の働きを取り戻します。
毛髪再生においては、注入された製剤のエクソソームに含まれる成長因子、タンパク質、miRNAがさまざまな薄毛要因をブロックし、薄毛の進行を抑制して発毛を促進・持続させます。男女問わず作用が発揮されるのです。
施術の流れ

医療用麻酔
治療部位に表面麻酔を行います。(クリーム剤もしくはスプレー剤)

極細の医療用針
極細の医療用針を用いて細かく数十か所に注入します。
施術時間 / 治療期間・回数
〇 施術時間
麻酔 30分 / 施術 30分
〇 治療期間・通院回数
治療期間は、約5~6ヶ月です。
3週間から4週間に1回の頻度で治療を受けて、6回続けます。その後、1年に1~2回のメンテナンスを受ければ、毛の成長力を維持できるでしょう。
【HARG+®療法 注意点】
- 表面麻酔を行い痛みは軽減されますがあります。
- 施術をお受けになる当日の朝に洗髪を行ってきてください。
- 当日施術後はシャワーとしてください。
- 当日はサウナや岩盤浴、運動はお控えください。
- 1週間は毛染め、パーマはお控えください。
この治療は、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*承認を受けていない医薬品・医療機器について「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページをご確認ください。同一の作用があり、日本国内で承認を受けているものはありません。
この記事の監修者
木嶋 晶子(きじま あきこ)
咲愛会 きじま皮フ科クリニック 理事長・院長
医師・医学博士・日本皮膚科学会専門医・日本アレルギー学会専門医
神戸大学医学部医学科卒業
皮膚科、アレルギー科、美容皮膚科を中心に、一人ひとりの状態を考えて、オーダーメイド皮膚医療を行うことを心がけています。
一人ひとりが輝けるよう、皮膚のお悩みをサポートしていきたいと考えています。
デュタステリド内服について
男性型脱毛症に適応を有する5AR阻害薬としては、1番目に発売されたのがフィナステリド(商品名プロペシア®)であり、2番目の経口薬としてデュタステリド(商品名ザガーロ®)が発売されています。デュタステリドには、Ⅰ型及びⅡ型の5α還元酵素が作用することを阻害する働きがあります。
すでに臨床試験において、毛髪数の増加(発毛の評価指標として設定)、硬毛数及び毛髪の太さの増加(育毛の評価指標として設定)といった効果・効能が確認されており、これによって男性型脱毛症の治療薬として厚生労働省に認可されました。
また海外の臨床試験では、デュタステリド0.5mgとフィナステリド5㎎(※プロペシア®1mgの5倍量)を半年間服用するという比較試験にて、デュタステリド服用群の発毛量が30%ほど多かったという報告があります。そのため、当院ではデュタステリド内服による治療をお薦めしております。先発品のザガーロ®、後発品のデュタステリド®からお選びいただけます。ザガーロは米国FDA承認。男性型脱毛症の治療薬として厚生労働省に認可されています。
【デュタステリドの副作用・リスク】
性欲減退、勃起機能不全、肝機能障害、黄疸、AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害
CYP3A4疎外作用を有する薬剤との併用禁忌
この治療は厚生労働省に認可されています。