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ニキビ・ニキビ痕

ニキビ・ニキビ痕

ニキビ・ニキビ跡は、思春期ニキビだけのお悩みではなく、大人のニキビ(アダルトニキビ)にお悩みの方も老若男女問わず多くいらっしゃいます。また、炎症がひどいニキビはニキビ跡となって長く残ってしまいます。ニキビ跡を残さないためにも、適切なニキビ治療が大切です。

吹き出物に悩む女性
#吹き出物に悩む女性

ニキビ・ニキビ痕

ニキビとは、毛穴(皮脂腺)が詰まり、炎症を起こしてできる皮膚の病気です。特に思春期や若年成人に多く見られますが、大人になってからも発症することがあります(いわゆる「大人ニキビ」)。

皮膚科の専門用語では、にきびを『尋常性ざ瘡(尋常性ざ瘡)』、痕が残ってしまったものを『ざ瘡瘢痕』といいます。

ニキビは、毛穴の詰まり⇒白ニキビ⇒赤ニキビと、炎症の有無によって見た目も移りかわっていきますが、赤ニキビにように炎症がひどいニキビはニキビ跡となって長く残ってしまうことがあります。瘢痕となってしまうと完全に治すことはなかなか難しく、治療に長い時間がかかるケースも多いのが現状です。

鏡を見て、新しいニキビを見つけたと時もショックを受けますが、治りきらずに残ってしまったニキビ痕には長期にわたって悩ませられます。

ニキビ跡を残さないためにも、適切なニキビ治療を早期に始めることが大切です。

ニキビができるメカニズム

ニキビ(尋常性ざ瘡)は以下のプロセスで発症します

  1. 皮脂の過剰分泌 – ホルモンの影響で皮脂腺の活動が活発化
  2. 毛穴の出口が詰まる – 古い角質により毛穴が塞がれる
  3. アクネ菌の増殖 – 毛穴内でアクネ菌が繁殖
  4. 炎症の発生 – 菌の増殖により炎症が起こり、赤ニキビへ進行

① 皮脂の過剰分泌

思春期やストレス、ホルモンバランスの乱れにより、皮脂腺からの皮脂分泌が増加します。特に男性ホルモン(アンドロゲン)が関与します。

🧪関与するホルモン:テストステロン、DHT(ジヒドロテストステロン)


② 毛穴の出口が詰まる(角化異常)

皮脂がたまると、毛穴の出口部分の角質(角化細胞)がはがれ落ちにくくなり、毛穴が詰まります。この段階が「面皰(コメド)」の形成です。

  • 詰まった毛穴 → 白ニキビ(閉鎖面皰)
  • 毛穴が開いて酸化 → 黒ニキビ(開放面皰)


③ アクネ菌の増殖

詰まった毛穴内は酸素が少なく、皮脂が豊富な環境のため、アクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖します。

  • アクネ菌は皮脂を分解して「遊離脂肪酸」などの炎症を起こす物質を産生します。


④ 炎症の発生

アクネ菌の産生物により、免疫反応が引き起こされ、炎症が発生します。

  • 赤く腫れた → 赤ニキビ(丘疹)
  • 膿を伴う → 黄ニキビ(膿疱)
  • 強い炎症 → 紫ニキビ(硬結)


ニキビの治療

上記のメカニズムを踏まえ、治療やスキンケアは「どの段階をターゲットにするか」で異なります

①角化の改善 → レチノイド(ディフェリンなど)

②アクネ菌の抑制 → 抗菌薬(外用・内服)

③炎症の鎮静 → 抗炎症成分、ステロイド一時的使用

④皮脂分泌の抑制 → ホルモン治療(女性)やビタミンB群

ニキビ(尋常性ざ瘡)の標準治療(ガイドラインに基づく第一選択治療)は、以下のようにニキビの重症度に応じて段階的に行うことが基本です(日本皮膚科学会ガイドラインより)。


【軽症ニキビ】

(白ニキビ・黒ニキビが中心、炎症が軽度)

✅ 第一選択

  • 過酸化ベンゾイル(BPO)外用
     →「ベピオ®」「エピデュオ®」など
     → 毛穴詰まり改善 + アクネ菌殺菌
  • アダパレン(レチノイド)外用
     →「ディフェリン®」
     → 毛穴の角化異常を正常化
  • BPO + アダパレン配合剤(併用効果)
     →「エピデュオ®」など


【中等症ニキビ】

(赤ニキビが複数ある、膿を伴うものも)

✅ 軽症の治療に加えて:

  • 外用抗菌薬(短期使用)
     →「ダラシンTゲル®」「ゼビアックス®」など
     → ※耐性菌を避けるため、単独長期使用は避ける
  • BPOと外用抗菌薬の合剤
     →「デュアック®」など
  • 内服抗菌薬(重症部位や広範囲に)
     → ミノサイクリン、ドキシサイクリン
     → 原則12週以内の使用が推奨


【重症ニキビ】

(膿疱、硬結、瘢痕を伴う場合)

✅ 中等症の治療に加えて:

  • 内服抗菌薬の継続
  • ホルモン治療(女性の場合)
     → 低用量ピル、スピロノラクトン(保険適応外)
  • イソトレチノイン(内服レチノイド)
     → ※日本では未承認(海外では標準治療)
  • 皮膚科処置
     → 面皰圧出、ケミカルピーリング、レーザー治療


🔸その他の補助療法

種類 内容
ビタミン剤 ビタミンB2、B6、C、Eなど(補助的)
スキンケア 洗顔・保湿の指導、ノンコメドジェニック使用
生活指導 食生活・睡眠・ストレス管理


⚠️注意点

  • 抗菌薬は耐性菌を防ぐため、単独・長期使用はNGです。
  • BPO製剤は刺激感や赤みが出ることがあるので、徐々に慣らすのが理想。
  • 妊娠中・授乳中は使える薬に制限があります(要確認)。

標準治療の進化

2025年6月より日本初のショートコンタクトセラピー薬である「ベピオウォッシュゲル5%」が発売開始となりました!!

べピオの主成分である過酸化ベンゾイルは以下の2つの主要な作用でニキビを改善します:

1. 抗菌作用

アクネ菌の細胞膜構造を酸化により障害し、菌を構成する物質を酸化させることで強い抗菌作用を発揮します。通常の抗生剤とは異なる作用機序のため、耐性菌を生じにくいという特徴があります。

2. 角質剥離作用(ピーリング作用)

角質細胞同士の結合を弛めて角層剥離を促進し、毛穴の詰まり(角栓)を改善します。これにより皮脂や菌が毛穴から排出されやすくなります。

これまでのべピオゲル、べピオローションと何が違う?

  • 9歳から使用可能(従来薬は12歳〜)
  • 濃度は5%で従来のベピオゲル(2.5%)の2倍
  • 洗い流すタイプなので、服の脱色リスクが少ない
  • 室温で保存が可能(30℃以下の室温)

これまでのべピオゲル、べピオローションは、刺激や脱色などの副反応があり、使いはじめに、「合う」「合わない」「不便さ」などのハードルが高いイメージがありました。

「濃くなった分、効き目が強いのでは?」と思うかもしれませんが、同時に接触時間を短くし、洗い流す使い方となっているため、刺激性の副作用はむしろ軽減される可能性があるのではないかと期待されます。

こんな方におすすめです。

✔小学生の子どものニキビに悩んでいる

✔ベピオゲルの刺激が合わなかった

✔毎日のスキンケアに手軽に取り入れたい

✔衣類の脱色が気になる

✔顔だけでなく体にも使いたい

保険診療で使用できるニキビ外用治療薬の種類

これまで使用可能であったにきびの外用薬は次の4種類でした。

  • ディフェリンゲル(2008年〜)
  • ベピオゲル・デュアックゲル(2015年〜)
  • エピデュオゲル(2016年〜)

しかし、これらはすべて12歳以上が使用対象でした。

今回発売になったべピオウォッシュゲルは9歳より使用可能となりました。

これまでのべピオゲル、べピオローションと違い、洗い流すタイプであることから、「赤み」「乾燥」「皮むけ」などの刺激症状がある程度緩和されていることが特徴です。

洗い流すことによって、パジャマやまくらカバーを漂白作用によってよごすことが減り、背中ニキビにも使用しやすくなっていることもポイントの一つです。

べピオウォッシュゲルの使い方

  1. 洗顔後、まぶたや唇を避けて顔に0.5g(1円玉大)を塗布 背中は2.0gを塗布。
  2. 5〜10分後に水またはぬるま湯で洗い流す
  3. こすらず、優しくタオルオフ

べピオウォッシュゲル1本で何日分?

・顔・・・40日分

・背中・・・10日分

べピオウォッシュゲルの副作用を知って使いこなそう!

  • 赤み(5.8%)
  • 刺激感(4.2%)

副作用がでることはあります。初めて塗り始める場合には、一部分だけ(例:顎だけ、額だけ)に、最初の1週間外用してみて、赤みや刺激感がどの程度ご自身のお肌ででるのか、確認してから、徐々に塗る範囲をふやしていきましょう。

ニキビ痕の治療

ニキビ痕の種類

①委縮性瘢痕

②肥厚性瘢痕

③ケロイド

④炎症後色素沈着

⑤炎症後紅斑

瘢痕タイプ 瘢痕の状態
炎症後色素沈着(PIH) 皮膚の凹凸はなく、炎症によって皮膚にくすみや黒ずみが生じた状態
炎症後紅斑(PIE) 皮膚の凹凸はなく、炎症によって皮膚に赤みが残った状態
肥厚性瘢痕・ケロイド 真皮の細胞が過剰に産生され周囲の皮膚表面より盛り上がった瘢痕になったもの
委縮性瘢痕 Ice pick 瘢痕の直径が<2mm で、深くなるにつれ細くなっている状態 瘢痕が、真皮または皮下組織に至っている
Rolling 真皮の下で硬く縮んだ線維性組織が皮膚を引っ張り、表面に陥凹ができる状態 瘢痕の直径が4-5mmで、なだらかにくぼんでいる状態
Boxcar 広く、丸〜楕円形または長方形の陥凹で、通常は箱状で辺縁がはっきりしている陥凹の状態

ニキビ痕の治療については、全て自費での治療になります。1,2回の治療でよくなると思われている方も多いのですが、瘢痕の治療には複数回の通院が必要となります。結果が得られるまでには長い時間がかかりますが、根気よく取り組みましょう。

①炎症後色素沈着(Post-Inflammatory Pigmentation:PIH)

皮膚の凹凸はなくても、炎症によって皮膚にくすみや黒ずみが生じたものが『炎症後色素沈着』です。

色素沈着に対しては、ケミカルピーリングやエレクトロポレーションによるビタミンC,トラネキサム酸、成長因子の導入を行います。ケミカルピーリングも、エレクトロポレーションもダウンタイムが少なく抵抗なく受けられる治療として広く行われている治療です。ニキビの新生が止まらず、まずニキビの治療段階にある場合には、サリチル酸ピーリングが第一選択となります。ニキビの新生が一段落し、炎症後色素沈着や炎症後紅斑などのニキビ痕を治す段階になると、トリクロロ酢酸(TCA)を用いたピーリングに切り替えて治療を行っていきます。

②炎症後紅斑(Post-Inflammatory Erythema:PIE)

皮膚の凹凸はなくても、炎症によって皮膚に赤みが残ったものが『炎症後紅斑』です。

外傷やニキビ、皮膚炎などの炎症が続いた後、皮膚に赤みが残る状態を示します。炎症によって、皮膚表面の毛細血管が拡張することによって起こります。

炎症後紅斑を治療する際には、軽症の場合には、ケミカルピーリング、ロングパルスNd-YAGレーザー(逆瀬川院⇒レーザーシャワー 宝塚南口Annex院⇒フォトナFrac3)、ケミカルピーリング+ロングパルスNd-YAGレーザーを組み合わせて治療すると効果的です。

③肥厚性瘢痕

外傷や手術の傷、ニキビなどが治る過程で、皮膚内部のコラーゲンなどの成分が過剰に生成されることで、真皮の細胞が過剰に産生されて、周囲の皮膚表面より盛り上がった瘢痕になったものを『肥厚性瘢痕」といいます。

ニキビ痕が周囲の皮膚より盛り上がってくると『肥厚性瘢痕』になり、さらに広範囲に広がって皮膚の組織が異常増殖を起こして赤みを帯びた状態に至るものが『ケロイド』です。

【ケロイド・肥厚性瘢痕の基本治療(第一選択)】

  ステロイド外用(保険適応)

  • 例:デルモベート®(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
  • 使用方法:圧迫を併用しながら1日1~2回塗布
  • 効果:炎症・増殖抑制、瘢痕の軟化


 ステロイド局所注射(トリアムシノロン)

  • 例:ケナコルトA®(トリアムシノロンアセトニド)
  • 効果:線維芽細胞の活動抑制、瘢痕縮小
  • 間隔:4週~8週おきに数回
  • 副作用:皮膚の萎縮、毛細血管拡張、色素沈着に注意


  圧迫療法/シリコンジェルシート

  • 例:アトファイン®、ケアリーヴ®治癒促進タイプなど
  • 効果:血流制限による瘢痕の盛り上がり抑制
  • 使用時間:1日12時間以上が推奨


【ケロイド・肥厚性瘢痕の補助的・追加治療】

 色素沈着・赤みが強い場合

  • Nd-YAGレーザーによる血管拡張に対する治療
    (赤み・血管拡張に効果)

  痛み・かゆみ対策

  • 抗ヒスタミン薬内服
  • 外用麻酔剤や冷却

  手術的切除(再発リスクあり)

  • 単独では推奨されず、放射線治療やステロイド注射と併用することが多い

④委縮性瘢痕

ニキビ痕が周囲の皮膚よりへこんでいるものを『委縮性瘢痕』といいます。炎症が真皮や皮下組織など皮膚の深い部分に及んだ場合に、炎症が治まる過程で組織が癒着を起こし、周囲の皮膚表面よりもへこんでしまった状態です。

大きさと深さが重症度にかかわってきます。丸く大きく凹んだ『ローリング型』というものもあれば、尖ったもので突き刺したように小さくて深い『アイスピック型』と呼ばれるものもあり、大きさや深さは様々です。アイスピック型は、開口部は小さくても真皮を超えて深いところまで及んでいるため、治療が難しくなります。

このような深いニキビ痕や、古いニキビ痕は治療が難しく、完全に消すことはできないかもしれませんが、スキンケアやケミカルピーリングなどで肌を改善させながら、レーザー機器(ピコフラクショナル、フォトナ)を併用したり、更に、ジュベルックなどのコラーゲンブースター製剤をサブシジョンと併用することにより、根気よく治療を続けることで、かなり改善できるようになりました。

ざ瘡瘢痕タイプ別治療法一覧

ざ瘡瘢痕のタイプ PIH PIE 委縮性瘢痕 肥厚性瘢痕 ケロイド
Ice pick Boxcar Rolling
施術 エレクトロポレーション Punch excision     ステロイドテープ・注射
  フォトナFrac3 ミラーピールによる瘢痕表面の蒸散+ピコフラクショナル フォトナNdYAG1064nm
  レーザーシャワー ピーリング(PRX-T33)+ピコフラクショナル  
    ピーリング(PRX-T33)+micro needle(Dermapen4, MPガン)  
    サブシジョン+ジュベルック注入  

この記事の監修者

木嶋 晶子

木嶋 晶子(きじまあきこ)

咲愛会 きじま皮フ科クリニック 理事長・院長
医師・医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本アレルギー学会専門医
神戸大学医学部医学科卒業

皮膚科、アレルギー科、 美容皮膚科を中心に、一人ひとりの状態を考えて、オーダーメイド皮膚医療を行うことを心がけています。
一人ひとりが輝けるよう、 皮膚のお悩みをサポートしていきたいと考えています。

当院は予約制です

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